UKコメディドラマ『Bad Education』まとめ
【作品名】『Bad Education』
作品概要
ジャック・ホワイトホールが脚本・主演を手がけた学園コメディ。初登場シーンの二日酔いで生徒を放置する様子からわかるように、主人公アルフィーは未熟な教師で、生徒との関係はどちらかというと友人みたいな感じ。授業も遊びの延長線上で、実になるような勉強をする描写は皆無。でもなんだかいつも楽しそう。毎回、好意を寄せる同僚の前でカッコつけたいという下心から生徒たちと学校行事に取り組むという流れなので、正直オチは読めます(笑)。でも細かく散りばめられた小ネタが笑えるのと、いちいち音楽がかっこいいので、個人的に好みどストライクでした。例えばピックルズの携帯電話の着うたが“California Love”だったりするところとか、主人公と対立するキャラクターたちもどこか憎めない部分があって、安心して観れます。めちゃくちゃ痛くてKYなサイモン(フレイザー)のキャラにツボでした。「DUBSTEP」とデカデカと書かれたポスターを貼ってるところでねえ…(笑)。日本では未配信なので、YouTubeで観るしか術はなし。
あらすじ
アルフィーはお喋りで注意散漫でガリバー先生に片思い中。彼はもっと頑張らなくてはいけない-特に教師であることにおいて。ジャック・ホワイトホールによる、名作おバカコメディ。
BBCより引用
作品のテイスト
ほのぼの学園コメディ。ハリー・エンフィールド演じるマーティン・ウィッカーズが出てくる時には妙に下品な感じが漂ってしまっているけれど、下ネタはそこまで激しくない。最後の卒業エピソードは涙なしには観れないけれど、基本的にはスナック菓子のようにライトなコメディ。
登場人物(キャスト)
●教師たち●
アルフレッド・プリュフロック・ウィッカーズ [アルフィー]
(ジャック・ホワイトホール/Jack Whitehall)
23歳。アビーグローブ校に勤める歴史教師。教室内の机や椅子を塹壕に見立てて戦闘を再現する「クラス・ウォーズ」など風変わりな教え方を取り入れている。生徒に校則を破らせたり、自ら校則を破るなど、ゆるい教師。同僚ロージーに片思いしている。
シャキール・バンター・フレイザー[サイモン]
(マシュー・ホーン/Mathew Horne)
校長。寒いギャグや言葉遊びを乱用するイタい人物。本人は気にしていないが、日帰り研修旅行先の選択をミスってラップバトルのイベントに参加してしまい生徒を見失うなど、なかなかのトラブルメーカー。アルフィーを親友だと思っている。
ロージー・ガリバー
(サラ・ソルマーニ/Sarah Solemani)
生物学の教師。慈善活動、動物の権利、人権、フェミニズム、障害を持つ人々の闘いに情熱を注ぐが、時たまその熱が変な方向へと進むこともある。なんだかんだアルフィーのことが好き。
イゾベル・ピックウェル
(ミシェル・ゴメス/Michelle Gomez)
シーズン1の副校長。保守的で厳格な性格で校長の座を狙っている。
プロフェッサー・セリア・グリーン[プロ・グリーン]
(サマンサ・スパイロ/Samantha Spiro)
シーズン2の副校長。サイモンがラッパーのプロフェッサー・グリーンと勘違いして雇った、ピックウェルの後任。一見フレンドリーな雰囲気を醸しながらもピックウェル以上に厳格。同級生だったアルフィーの父と恋仲になる。
マーティン・ウィッカーズ
(ハリー・エンフィールド/Harry Enfield)
シーズン3の副校長。アルフィーの父で、グリーンの後任となった。シーズン2ではグリーンと交際、シーズン3ではアルフィーの生徒の母親と交際し、アルフィーをことごとく苦しめる。
オリーブ・モリンソン
(レイラ・ホフマン/Leila Hoffman)
美術&数学の教師。少なくとも1960年代から学校で働いている、最年長スタッフ。
●生徒たち●
ジョー・ポールター
(イーサン・ローレンス/Ethan Lawrence)
アルフィーの一番の味方で、心優しい生徒。しばしば自ら犠牲を伴いながらもアルフィーを助ける。他の生徒からよくからかわれている。
シャンテル・パーソンズ
(ニッキ・ルネックルス/Nikki Runeckles)
色気ムンムンのギャル。アルフィーのことが好きで、ことあるごとに性的なアピールを欠かさない。
スティーブン・カーマイケル
(レイトン・ウィリアムズ/Layton Williams)
ゲイで、シャンテルの親友。驚異的なダンススキルを持っており、クリスマス劇「ロボクラッカー」(ロボコップ×くるみ割り人形)では主演を務める。
ジン・ホア
(カエ・アレクサンダー/Kae Alexander)
クラスのブレイン的存在で、何か事件が起きた時に活躍する。悪態をつく時に母国・中国の言語を用いるが、アルフィーはそれらを褒め言葉や何かの質問だと勘違いしている。
ミッチェル・ハーパー
(チャーリー・ワーナム/Charlie Wernham)
口に長けたタフガイ。アルフィーとは常に悪口の応戦をしている(冗談で)。レム・ドッグとは親友同士。
レスリー "レム・ドッグ "レミングトン[レム・ドッグ]
(ジャック・ビンステッド/Jack Binstead)
車椅子を使用し、常にヘッドフォンと野球帽を身につけている。ミッチェルと一緒になっていつもアルフィーをからかっている。
フランク・グレイソン
(ジャック・ベンス/Jack Bence)
いじめっ子。教師であるアルフィーのこともいじめていたが、シーズンを追うごとに絆を深めていく。スティーブンと恋仲になっていく。
クレオパトラ・オフォエド
(ウェルチェ・オピア/Weruche Opia)
シーズン3に登場する転校生。攻撃的な性格だったが、徐々にアルフィーや他の生徒に心を開いていく。ミッチェルから好意を寄せられている。
撮影地
ロンドン北部フィンチリーのセント・マイケルズ・カトリック、ホーンゼイ・レーンのアシュマウント・プライマリー・スクール跡地、ロンドン南部バタシーのサレジアン・カレッジ跡地などで撮影が行われた。
作品にまつわるエピソードあれこれ
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メディアからの評価は悪かった。The Guardianは「お粗末な作品」と呼び、ホワイトホールの手抜き仕事だと批判した。The Daily Telegraphは「あまりにも多くのステレオタイプを使用している」「ホワイトホールは同じジョークを繰り返す傾向にある」と述べ、5段階中の2の評価をつけた。Daily MirrorとThe Sunも同じく5点満点中2点に。しかし、IMDbでは10点満点中7.7点、SideReelで5点満点中4.11点、Rotten Tomatoesのトマトメーターは71%とユーザーからは高い評価を得ている。
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US版の話が途中まで進んでいた。『An American Education』というタイトルで、発注元はABC。ホワイトホールがアルフィー・ウィッカーズ役を再演することになり、サイモン役はフィル・モリス、ロージー役はロージー・ペレス、ピックウェル役はブリタニー・スノウに。2014年にロサンゼルスで撮影が始まったが、ABCがキャンセルしたことで幻となった。
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映画『The Bad Education Movie』が2015年に公開された。統一試験後に行われた最後の修学旅行の様子が描かれている。撮影地はコーンウォール。『ゲーム・オブ・スローンズ』ジョラー・モーモントを演じたイケオジ=イアン・グレンも出演している。
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ホワイトホールは脚本を作り上げていく上で、『リーグ・オブ・ジェントルマン 奇人同盟!』などで知られる脚本家ジェレミー・ダイソンや、『フレッシュ・ミート』で監督を務めていたアニー・グリフィンなどの力も借りた。私立校出身のホワイトホールは公立校に出向きリサーチを重ねたが、生徒たちの前に立ち、侮辱する言葉を投げかけるよう頼むなど、その方法は型破りなものだった。
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アルフィーは劇中「『ハリー・ポッター』のハーマイオニー役でエマ・ワトソンに敗れた」と言われているが、現実でそれに近い出来事があった。演じるホワイトホールは『ハリー・ポッターと賢者の石』のハリー役のオーディションを受けたことがあるのだ。
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シーズン1「Football Match」のためにアイリッシュダンスを学んだというホワイトホールだが、習得はできずじまいだった。本人は「アイリッシュダンスを学ぶのはすごく楽しかったけれど、最終的には替え玉を使うことになったよ」「何回かは自分でやったけれどね。ある女性がやって来てにアイリッシュダンスを教えてくれたんだけど、最後まで上達しなかったから替え玉を使わざるを得なかったんだ。その女性の脚を撮影したんだよ。だから女性の脚と僕の上半身と組み合わさっているってわけ。正直、アイリッシュダンスは上半身だけならとても簡単でマスターできたよ」と語っている。
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ピックウェルはゴメスが演じることをイメージして生み出されたキャラクター。夫ジャック・ダヴェンポートが米TV業界で活躍していることから現在アメリカに住んでいるゴメスは読み合わせの段階では出演が難しかった。しかし、再びオファーを出したところ奇跡的にOKが降り、晴れてゴメス出演が確定した。ホワイトホールはIndependentのインタビューで「彼女(ゴメス)の冷ややかな目つきが怖かったよ。今も彼女が怖いよ。そこには愛があるけれどね」とコメントしている。
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テレビ番組『Backchat』でホワイトホールは、本物の父マイケル(テレビプロデューサー/タレント/テレビパーソナリティ/作家)と『Bad Education』で父親役を演じたエンフィールドと共演を果たした。エンフィールドはマイケルのことを知っておりとても良い印象を持っていたが、初めて会った時にあまりにもクソ野郎で衝撃を受けたとのこと。そのため、エンフィールドはマイケルのことを話す際には「”クソ・ホワイトホール”と呼んでいる」そう。ホワイトホールは「エンフィールドは父親役を演じる時に、その”クソ”風味を取り入れているのかもしれない。自己検閲できない部分も似ているし」と語っている。ちなみに、ホワイトホールにとってエンフィールドはコメディヒーローである。
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レム・ドッグ役のビンステッドは骨形成不全症により3歳から車椅子を使用しており、ジュニア時代にパラリンピック選手として活躍していた。彼は近年TikTokで人気である。
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美しいダンスシーンで魅せてくれたスティーブン役のウィリアムズは、ミュージカル『リトル・ダンサー』で主役ビリーを演じた経験もある熟練のダンサーである。
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中国人生徒を演じたアレクサンダーは、日本のルーツも持っている。神戸で日本人の父と中国人の母の間に生まれ、幼少期を日本の東京と香港の両方で過ごした。10歳の時にロンドンに移住し、2011年にギルドホール音楽演劇学校を卒業した。なお、秀才アレクサンダーのキャラクターとは真逆で、実は勉強が苦手。
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ベンスは『ピープ・ショー ボクたち妄想族』S5EP1「踏んだり蹴ったり(原題: Burgling)」にて空き巣の青年役を演じている。彼はBritish Comedy Guideのインタビューにて、現実世界でも悪い奴だと思われていると嘆いていた。「ほとんどの人が僕に盗まれたくないものを隠すんだ…」「ビジネスマンの奴らが僕のところにやってきて、そのうちの一人が仲間を殴ってくれって頼んできたことがあって、少し奇妙な体験だったよ!僕は”いや、いま仲間と遊んでるだけなんだけど!”って感じで」
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「Christmas Special」(2013/12/17放送)には、ホワイトホールが『フレッシュ・ミート』(2011/9/21〜2016/3/28放送)で共演していた盟友グレッグ・マクヒュー(ハワード役)が出演している。また、ホワイトホールは同時期(2013/11/29)、自ら制作した短編映像にもマクヒューをキャスティングしていた。
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ホワイトホールの友人であり本作の共同脚本家のフレディ・シボーン(Freddy Syborn)はS2E3「Funeral」にて教員職を求める男の役としてカメオ出演している。
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ホワイトホールの実母ヒラリー・ホワイトホールが生徒の親の一人、カーマイケル夫人役としてS1EP2「Sex Education」、S2EP5「Drugs」、S2EP6「Fundraiser」、S3EP3「Sports Day」にカメオ出演している。
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コンポーザーのビンス・ポープは『ブラック・ミラー』『Misfits/ミスフィッツ -俺たちエスパー!』などのスコアも担当した売れっ子ミュージシャン。『Bad Education』ではWretch32やSkeptaといったグライム、RudimentalやThe Qemistsといったドラムンベースの選曲が目立つ。
エピソード名
シーズン1
1. 原題:Parents' Evening
2. 原題:Sex Education
3. 原題:Self Defence
4. 原題:School Trip
5. 原題:Football Match
6. 原題:Politics
シーズン2
1. 原題:Swimming Gala
2. 原題:The American
3. 原題:Funeral
4. 原題:Valentine's Day
5. 原題:Drugs
6. 原題:Fundraiser
原題:Christmas Special
シーズン3
1. 原題:Strike
2. 原題:After School Clubs
3. 原題:Sports Day
4. 原題:Fundraising
5. 原題:The Exam
6. 原題:The Finale
参考サイト: Wikipedia / IMDb / tvtropes / BRITISH COMEDY GUIDE / Independent / RTE