UKコメディドラマ研究所

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UKコメディドラマ『フレッシュ・ミート/Fresh Meat)』まとめ

【作品名】フレッシュ・ミート(原題:Fresh Meat)

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©️Channel 4

作品概要

舞台は架空の大学、マンチェスターメドロック大学。申請の遅延により大学寮からあぶれ、キャンパス外の一軒家でシェアハウスをすることになった学生たちの生活を描いたコメディドラマ。メインキャラクターは、優柔不断のやさ男キングスレー、お股ゆるゆるのジョシー、パンクなボッド、自信家のオレゴン、残念な性格のJP、ナード男子ハワードと、個性豊か。彼らが一つ屋根の下で暮らすと、常に何かしらのハプニングが勃発。各々の小さな問題が掛け合わさり、思いも寄らない方向へ進んでいくことも。性格も考え方もバラバラの6人ですが、様々な出来事を一緒に乗り越え、シリーズを追うごとに友情を深めていきます。1学年1シーズンなので、彼らはシーズン4で最終学年。シーズン後半では、友情や恋愛といった人間関係に加え、経済的な問題、就職活動や期末試験へのプレッシャー、卒業パーティーなど、学生が抱える様々な悩みについて描いていて、なかなかリアルです。最終回、それぞれの道を進むために解散する彼らの姿は、涙なしには観れません。2019年にはNetflixで配信されていたことを確認したのですが、2020年にはひっそりと姿を消していました…涙 『フレッシュ・ミート』よ永遠なれ!

作品のテイスト

「青春」という言葉は中学/高校時代を連想させるけど、大学時代も青春だと思うんです。むしろ成人を超えて色々と制約がなくなる分、さらに青春を謳歌できる時期じゃないかと。少なくともこのドラマはそう。だから青春指数は最高値。この時期の子たちだから起こる様々なイベントが笑いへと繋がります。一つ屋根の下の男女、奔放な大学生活…なので、もちろんロマンスも多し。

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 登場人物

キングスレー・オーウェン
(ジョー・トーマス/Joe Thomas)
地質学を専攻。フレンドリーで人に好かれる性格だが、情緒不安定な面もあり、突拍子もない決断を下す傾向にある。ミュージシャン活動もしている。ジョシーに惹かれるが、彼女が婚約者や他の人と寝ていることから、意地となって他の女子との恋愛を楽しむ。

ジョセフィン・ジョーンズ[ジョシー]
(キンバリー・ニクソン/Kimberley Nixon)
入学当初は動物学を専攻だったが、最終的に薬理学を専攻。婚約者がいる。最初はシャイな可愛らしい女子を演じていたが、実はかなり頑固で短気なワガママなヤリマン。徐々にアルコール中毒になっていく。部屋が隣同士で、壁に穴が空いていたこともあり、キングスレーと惹かれ合う。

ヴァイオレット・ノーストローム[ボッド]
(ザウェ・アッシュトン/Zawe Ashton)
文学を専攻。元軍人。大酒飲みでドラッグを多用する、反体制派を掲げるパンクな女子。育ちも性格も真逆のオレゴンとは親友に。大学に入るために昼間は工場で働き、夜間学校に通っていた努力人。しかし、まともな中等教育を受けてこなかった影響もあって成績が悪く、常に落第の危機に面している。オレゴンの宿題をそのまま盗用することもある。借金を重ねている。

メリッサ・ショウクロスオレゴン
(シャーロット・リッチー/Charlotte Ritchie)
文学を専攻。理想主義者で、周囲からの目線をすごく気にするタイプ。ボッドと親友になる。ボッドが主張する反体制的な意見を支持しようと努める。大学講師との不倫関係に溺れた後、知らずのうちにその息子とも関係を持ってしまう不運な女。自信家。政治活動家としての自分を夢見て、学生組合の会長の座に就く。

ジョナサン・ペンバースリー[JP]
(ジャック・ホワイトホール/Jack Whitehall)
地質学の生徒。裕福な家柄を鼻にかけ、他人を見下す傲慢な男だが、実は繊細。いじめっ子に金づるとして利用されていたり、両親とうまく関係を構築できていなかったり、本気で恋愛をしてこなかったりしたことが徐々に明らかになっていく。威圧的な兄トモシーに子供扱いされることを嫌がっている。

ハワード・マクレガー
(グレッグ・マクヒュー/Greg McHugh)
地質学を専攻。スコットランド人。もともと哲学を専攻していたが、教授との意見の相違からコース変更を決意。そのため、他の同居人よりも1つ年上。成績は良いが変わり者で、人とのコミュニケーションが苦手。部屋の中に電力源があることを利用し、同居人を脅すこともある。意外と恋愛体質。

トニー・シェールズ
(トニー・ガードナー/Tony Gardner)
文学部の教授。自分のキャリアよりも成功している妻ジーンを妬んでいる。

ジーン・シェールズ
(サラ・スチュワート/Sara Stewart)
トニーの妻で、オレゴンが憧れている教授。トニーとの関係は破綻している。勤勉で真面目なオレゴンを弟子にするが、夫や息子と寝ていたことを知り、師弟関係を解消する。

ダン
ロバート・ウェッブ/Robert Webb)
地質学の教授。不器用で繊細な性格の持ち主。キングスレーと仲良くなりたかったが、一旦距離を置かれたため、そのことを根に持っている。

ラルフ
(ジャック・フォックス/Jack Fox)
JPの元同級生で、いびり屋。

トビー
(ジェームス・マスグレイヴ/James Musgrave)
JPの元同級生で、いびり屋。

ブライアン
(アダム・ギレン/Adam Gillen)
ハワードと仲良くなるナード男子。

デイヴ
(ベン・マグレガー/Ben McGregor)
ジョシーの婚約者。

ポール・ラム[透明人間]
同居人だが、誰もその姿を見たことがない。

サヴィーン
(ジェルカ・ヴァン・ホーテン/Jelka van Houten
博士課程のオランダ人学生。ポールと入れ替わる形でやってきた同居人。冗談が通じず、年上でどこか威圧的なため、他の同居人から嫌われている。

ヘザー
(ソフィー・ウー/Sophie Wu)
歯科医学部の生徒で、ジョシーの友人。キングスレーと付き合い始め、ジョシーと仲違いする。

撮影地

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マンチェスターグラナダ・スタジオ跡地に建設されたシャープ・プロジェクトで撮影が行われた。マンチェスターが舞台という設定で、いくつかのロケシーンは実在の「Manchester Metropolitan University」で行われている。近所のパブはソルフォードの「King's Arms」がロケ地。大学風景の映像は「University of Manchester」のメインキャンパスである「Oxford Road」、特に図書館の外観で撮影された。シーズン2では、「University of Salford」の図書館含む様々な場所をセットとして使用。「28 Hartnell Avenue」にあるという設定の同居ハウスは、実在するヴィクトリア様式の家で、「28 Mayfield Road in Whalley Range, Manchester」にある。

オープニングテーマ

クリスチャン・ヘンソン(Christian Henson)によるオリジナルテーマ


Fresh Meat Opening Titles

作品にまつわるエピソードあれこれ

  • ジェシー・アームストロングとサム・ベインは、4人の学生が主人公の80年代UKコメディドラマ『The Young Ones』のVHSを観ながら、『Fresh Meat』のメインキャラクターと初回エピソードを書き上げた。

  • どのシーズンも、初回エピソードのみジェシー・アームストロングとサム・ベインが手がけ、その他のエピソードは別の脚本家達に委ねている。理由は、制作期間が『Peep Show』と重なっており、2本のドラマの脚本を同時進行で進めることが難しかったから。また、かねてより他の脚本家も参加させたいと考えていたため、経験豊富なベテラン、才能ある女性、大学を出たばかりの駆け出しの若者など、様々な脚本家を起用した。

  • 初回エピソードに対する評価は「エッジが効いていて新鮮なギャグが詰まっている」(The Guardian)「大学に通うことの憂鬱さを作家が覚えていない。湿けったネズミ花火みたいだ」(New Statesman)と賛否両論だったが、回を追うごとに評価が向上。Radio Timesは「全体的によく練られた脚本で、豪華なキャラクターコメディだ」、Metroは「もともと『The Inbetweeners』の大学版として作られたが、『Fresh Meat』は遥かに洗練されたものとして発展した」と評価している。その後も、全シーズン通し、批評家から高い評価を得ている。

  • 『The Inbetweeners』の成功もあり、『Fresh Meat』の映画化の話も浮上していた。

  • オープニングのグレッグ・マクヒューのクレジットフォントは、ゲーム『メタルギアソリッド』のもの。ハワードのナードなキャラクター性を表現している。

  • オープニングでジャック・ホワイトホールのクレジットが出るシーンで見られる下乳が見えている女性のモデルはキティー・リー。

  • シーズン1エピソード5のロンドンのデモシーンで攻撃に遭って床に倒れた時のJPは「Bupa(※英国の保険会社)に加入しているから大丈夫」と言う。JP役のジャック・ホワイトホールは、自身のスタンダップコメディショーで度々そのセリフを再利用している。

  • 同じくシーズン1エピソード5におけるJPのセリフ「クラス・ウォーズ」は、ジャック・ホワイトホールが脚本・主演のドラマ『Bad Education』でも使っている。

  • シーズン2エピソード7でキングスレーとオレゴンがユニットを組むエピソードがあり、それに合わせて2人の珍妙なミュージックビデオが制作された。楽曲は、ブラーのギタリスト=グレアム・コクソンによる書き下ろし。MVにはJPも出演している。

     

  • シーズン3の放送中にYouTubeで展開された動画シリーズ「Fresh Meat Unlocked」にて、ハワードはサビーンが『ゲーム・オブ・スローンズ』(以下、GOT)を観るのが好きなことに気付いていることをほのめかしている。サビーン役のイェルカ・ファン・ハウテンは、『GOT』メリサンドル役のカリス・ファン・ハウテンの妹である。ちなみにサビーンのように他メンバーに馴染みきれなかったキャンディスを演じたフェイ・マーセイは『GOT』で浮浪児を演じている。
     
     
     
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  • シーズン4エピソード2でオレゴンが巨大小切手を手に写真撮影をしてラグビー部員から卵を投げられるシーンにて、部員役のサム・ベンジャミンらの投げっぷりが正確だったため、オレゴン役のシャーロット・リッチーは看板をずっと盾にしなくてはならなくなった。

  • ジャック・ホワイトホールとジェンマ・チャンは同ドラマでの共演がきっかけで恋人に。2011年から6年にわたって交際し、ノッティングヒルのアパートで同棲していた。しかし、お互いに多忙であること、子供を望むジェマと望まないジャックの間で意見が割れたことなどから、良き友達としてお互いに支え合うことにしたとのこと。
  • 主演5人は最初の5ヶ月間、マンチェスターの同じ建物内に住み、1日12時間仕事をすることに。すぐに仲良くなり、カナル・ストリートに飲みに行ったり、ノーザン・クォーターにライブを観に行ったりと交流を楽しんだ。二日酔いになる日もあり、ホワイトホールは撮影中にこっそり昼寝をした経験も。アッシュトンの誕生日には「ココナッツ・シャイ」というクラブでオール。アッシュトンは「ジョー(・トーマス)が色とりどりのカクテルを飲んでいて、私たちが地下室でレゲエミュージックに合わせて踊っていたのを覚えているよ」と振り返っている。5人の絆は深く、現在もWhatsApp内でグループを作り、連絡を取り合っている。

  • ニクソンはアッシュトンと同じエージェントで知人同士ではあったが、最初ニクソンは彼女にあまり良いイメージを抱いていなかった。後にアッシュトンに対し、「撮影現場でヨガマットを敷いてクロワッサンを食べているあなたを見て、嫌な奴だと思っていた」と言ったそう。しかし、後にアッシュトンはニクソンの結婚式で詩を読むほどの仲になった。

  • マクヒューは劇中で使用した羊のセーターを額に入れて自宅に飾っている。

     

  • アッシュトンもボッドの衣装をお持ち帰り。休暇の際にジャケットを持っていったが、セキュリティ・チェック・エリアに行く途中でポケットをチェックしたところ、一つのポケットに大きな穴が開いており、その中に偽のマリファナ7袋が入っていたという珍エピソードも。

  • ホワイトホールは、最終話、丘の上に座った一行が一緒に街を眺めながら別れを惜しむシーンの写真を事務所に飾っている。「あの日は多くの涙が流れたことを覚えているよ。通常、シリーズを終えるのが待ちきれないものもあるのに、この時は違ったからね」


    www.youtube.com

  • 2021年9月23日に公開されたNME誌の『Fresh Meat』10周年記念記事にて、ライターが「もう一度ドラマを作りたいか」と主演5人+ベインに尋ねたところ、全員が「YES」と応えている。

エピソード名

シーズン1
1. 原題:Episode1
2. 原題:Episode2
3. 原題:Episode3
4. 原題:Episode4
5. 原題:Episode5
6. 原題:Episode6
7. 原題:Episode7
8. 原題:Episode8


シーズン2
1. 原題:Episode1
2. 原題:Episode2
3. 原題:Episode3
4. 原題:Episode4
5. 原題:Episode5
6. 原題:Episode6
7. 原題:Episode7
8. 原題:Episode8

シーズン3
1. 原題:Episode1
2. 原題:Episode2
3. 原題:Episode3
4. 原題:Episode4
5. 原題:Episode5
6. 原題:Episode6
7. 原題:Episode7
8. 原題:Episode8


シーズン4
1. 原題:Episode1
2. 原題:Episode2
3. 原題:Episode3
4. 原題:Episode4
5. 原題:Episode5
6. 原題:Episode6

 


www.youtube.com

 

作品情報

【放映年度(本国)】2011年9月21日 – 2016年3月28日
【シーズン数/エピソード数】4シーズン/30話
【各エピソード時間】41分
【放送局】Channel 4
【日本で観る方法】現状、無し
【製作】
原案:ジェシー・アームストロング(Jesse Armstrong)、サム・ベイン(Sam Bain)
脚本:トニー・ローチ(Tony Roche)、ペネロペ・スキナー(Penelope Skinner)、リチャード・ピント(Richard Pinto)、ローズ・ハイニー(Rose Heiney)ジョン・ブラウン(Jon Brown)、トム・バズデン(Tom Basden)、アニー・グリフィン(Annie Griffin)、D.C.ジャクソン(D. C. Jackson)ヘンリエッタ・アッシュワース(Henrietta Ashworth)ジェシカ・アッシュワース(Jessica Ashworth)
監督:デヴィッド・カー(David Ker)、ニック・ウッド(Nick Wood)、アニー・グリフィン(Annie Griffin)、ゴードン・アンダーソン(Gordon Anderson)、ジェイミー・ジェイ・ジョンソン(Jamie Jay Johnson)

製作会社:ライム・ピクチャーズ(Lime Pictures)、オブジェクティブ・プロダクションズ(Objective Productions) 

参考サイト:Wikipedia / IMDB / tvtropes / NME