UKコメディドラマ研究所

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UKコメディドラマ『デリー・ガールズ 〜アイルランド青春物語〜／Derry Girls』まとめ

Derry Girls

【作品名】デリー・ガールズ 〜アイルランド青春物語〜（原題：Derry Girls） 

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©︎Channel 4

作品概要

1990年代、北アイルランド・ロンドンデリーに住む女子高校生たちの日常を描いたシリーズ。主人公は、カトリック女子校に通っているエリン、エリンの従姉妹オーラ、クレア、ミシェル、ミシェルの従兄弟ジェームズの5人。性やらアルコールやらに興味津々な彼女たちは、学校生活に身が入らないトラブルメーカー。毎回、青臭い欲望のためにあれこれ奮闘した挙句、ミラクルコンボをかまして大失態を犯します。めちゃくちゃ面白い。『The Inbetweeners』の女版と称されているのも納得です。ドラマを彩る90年代UKポップスはじめ、当時の雰囲気を感じられる小ネタも秀逸。また、校長であるシスター・マイケルがかなり良いキャラ。毎度素晴らしいツッコミをしてくれます。Netflixでシーズン1、2が視聴可能。

あらすじ

紛争が続く90年代の北アイルランドでも、青春の悩みはなくならない。特に、思春期真っただ中の5人にとって、いかに高校生活を乗り切るかは重大な生の課題。

Netflixより引用

作品のテイスト

邦題の副題にも付いているように、青春感ハンパないです。アメリカのドラマみたく男女共学で恋愛が盛んでクールな場所に遊びに行ったり…というのではなく、もっとリアリティのある青春。地味で、親の制約があって、でも好奇心旺盛で、友人たちとアホなことをしでかしちゃう感じ。このドラマの出来事はだいぶ行き過ぎだけど、個人的には“あるある”な気持ちを抱いています。無論、恋愛や性への関心も高いので、恋愛・下ネタ指数も高め。

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登場人物

エリン・クイン
（サーシャ-モニカ・ジャクソン／Saoirse-Monica Jackson）
野心家の熱血女子。かなりの皮肉屋。他人からの評価を過剰に気にしてドツボにハマること多し。

オーラ・マクール
（ルイーザ・ハーランド／Louisa Harland）
エリンの従姉妹。物静かな変わり者。エリンとは対照的で、ゴーイングマイウェイな性格の持ち主。よくエリンのプライバシーを侵害して楽しんでいる。

クレア・デヴリン
（ニコラ・コクラン／Nicola Coughlan）
仲間の中で最も真面目で心配性な性格。甲高い声でまくし立てるのが特徴。

ミシェル・マローン
（ジェイミー・リー・オドネル／Jamie-Lee O'Donnell）
下ネタ担当。発言も行動もワイルドで、性・ドラッグ・アルコールに強い関心を持っている。トラブルの発端となることが多い。

ジェームズ・マグワイア
（ディラン・ルウェリン／Dylan Llewellyn）
ミシェルの従兄弟。イギリス出身。母が離婚問題を解決する間、ミシェルの母デアドラ預けられた。女子校唯一の男子だが、ナヨナヨしているため全生徒からゲイ扱いされ恋愛対象として見なされていない。

マリー・クイン
（タラ・リン・オニール／Tara Lynne O'Neill）
エリンの母。思春期で情緒不安定な娘に振り回されて、雷を落とすことも多いが、そこには愛がこもっている。

サラ・クイン
（キャシー・キエラ・クラーク／Kathy Kiera Clarke）
マリーの妹で、オーラの母。ほとんど自宅に帰らず、隣家である姉の家でオーラと一緒にゴロゴロしている。不思議な感覚の持ち主。

ジェリー・クイン
（トミー・ティアマン／Tommy Tiernan）
エリンの父。穏やかな性格。アイルランド共和国出身で、運転手の仕事をしている。義父と仲が悪い。

ジョー
（イアン・マッケルヒニー／Ian McElhinney）
マリーとサラの父。妻の死後、マリーたちと同居を始めた。娘婿のジェリーを毛嫌いしており、マリーに対して常に離婚を勧めている。

コロム
（ケビン・マカリアー／Kevin McAleer）
 ジョーの兄弟。あまりにも退屈すぎて家族から煙たがられている。

デアドラ・マローン
（アメリア・クローリー／Amelia Crowley）
ミシェルの母。看護師として働いている。

シスター・マイケル
（シヴォーン・マクスウィーニー／Siobhán McSweeney）
主人公たちが通う女子校の校長先生。基本的に冷めた性格で、皮肉屋。主人公たちに手を焼いている。

ジェニー・ジョイス
（リア・オルーク／Leah O'Rourke）
女子校の秀才。主人公たちの宿敵で、学校行事などでしばしば対立している。自身の富や権力を振りかざす、鼻持ちならない女。

アイスリング
（ベッシー・ヘンダーソン／Beccy Henderson）
ジェニーの親友であり相棒。

デニス
（ポール・マローン／Paul Mallon）
主人公たちの行きつけのお店の店主。攻撃的な性格。

撮影地

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北アイルランドのデリーとベルファストでほとんどの撮影が行われた。学校のシーンは、ベルファストにある女子校、ハンターハウス・カレッジで撮影が行われている。

作品にまつわるエピソードあれこれ

    • 初回エピソードの視聴率があまりにも高かったため、すぐさまシーズン2の制作が決定した。そしてシーズン2最終話の放送直後、シーズン3が制作決定。北アイルランドにおいて、2002年以降で最も視聴されたテレビドラマシリーズとなった。シーズン3は2020年半ば〜2021年に放送されると噂されている。

    • 批評家から高い評価を得ており、Rotten Tomatoesでは、シーズン1は100％フレッシュ、シーズン2は96％フレッシュを獲得している。The Irish Timesは「卓越した脚本、演技も完璧、キャスティングも最高」と手放しで大絶賛。シーズン1終了後、The Guardianは『The Inbetweeners』『Father Ted』『Bad Education』などの傑作コメディドラマシリーズを彷彿とさせる作品だと評した。

    • ドラマ放送後、デリーは人気の観光地に。2019年1月23日、ドラマの功績を讃えるため、デリーのバーの外壁に主人公5人が描かれることが発表された。北アイルランドでは、地域の文化や政治の歴史を表現することを目的に、建物に壁画を描くことが伝統となっている。2020年に入り、コロナ禍においてマスクが加えられた様子。

    • 2017年4月28日、最初に台本の読み合わせをした時、サーシャ-モニカ・ジャクソン（エリン役）、ルイーザ・ハーランド（オーラ役）、ニコラ・コクラン（クレア役）、ジェイミー・リー・オドネル（ミシェル役）、シヴォーン・マクスウィーニー（シスター・マイケル役）は「ひどい仕事をしたからすぐに解雇されてしまう」と思った。しかし、共演者同士ですぐに仲良くなったようで読み合わせ後にパブに行っていた。 

  • 作品の中で良い化学反応を起こすべく、シーズン1の撮影期間中、主役5人はアパートで同棲生活をしていた。

     

  • ジャクソンとオドネルはデリー出身だが、コクランはゴールウェイ、ハーランドはダブリン出身。そのため、コクランは元ガールズ・アラウドでデリー出身の歌手ネイディーン・コイルの訛りを参考に、ルイーザはジャクソンの訛りを参考にデリー在住の高校生を演じている。

     

  • オーラの声は高いが、ハーランドは実はかなり低い声の持ち主である。

     

  • オーラのダンスはハーランドのエアロビクス・ルーティーンから着想を得て作られた。

  •  クレアがレズビアンであることを他のキャラクターに打ち明けるシーンを撮影するまで、そのことはコクランしか知らなかった。

     

  • クレア同様、コクランは実生活でも活動家である。特にLGBTQをサポートする活動に力を入れている。

     
     
     
     
     
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  • コクランはエリン×ジェームズのカップリング案を推している。

     

  • ミシェルは弾丸トークをぶちかます酒豪のパーティーガールだが、演じるオドネルは真逆。「私が想像以上に静かであることに人々はショックを受けていると思う。騒々しくてワイルドな人間だと思われているけど、実際には違う」と述べている。

     

  • ディラン・ルウェリン（ジェームズ役）はデリー出身のキャストたちがなんて言っているかわからない時があることを認めており、それがジェームズの場違い感に拍車をかけている。

     

  •  原案・脚本家のリサ・マッギーは、各キャラクターの好きな映画についても細かく設定した。エリンは『トリコロル／青の愛』（93年）がお気に入りだと公言しているが、実は未鑑賞。本当は『ビートルジュース』（88年）。オーラは『ジム・キャリーのエースにおまかせ!』。ミシェルは『エクソシスト』（73年）。「主に神父の母が地獄で何をするかについてのセリフを引用するため」好きなのだとか。クレアは『リトルマーメイド』（89年）。ジェームズは真の映画ファン。『ゴッドファーザー』（72年）が好きだと主張しているが、実際には『ゴースト／ニューヨークの幻』（90年）がお気に入りだそう。

  • Spotifyではドラマ内のBGMで構成した各キャラクターごとのプレイリストが作られている。

  •  2018年12月にNetflixで配信開始以来、世界中でカルト的な人気を博している。その成功はキャストやクルーにとっては予想外で、コクランとルウェリンはアメリカを訪れた際に人々に気づかれたことに驚いた。ディランは大勢から「wee English fella（尿もれ英国男）」と呼ばれたそう（シーズン1エピソード1の内容より）。

  • 主人公たちが通う学校は、マッギーが通学していたソーンヒル・カレッジをモデルにしている。舞台背景にはマッギーの青春時代が反映されており、大人たちが爆弾テロに対してカジュアルな態度をとっているというのも、自身の体験から来ている。マッギーは「爆弾テロは頻繁に起きていたから、ありふれた出来事になっていました。皆お店に行けないと文句を言っていたのを知っています。それが16歳だった私の体験です」と語っている。

  • シーズン1エピソード5で行われたプロテスタントによる「オレンジ・マーチ」は、カトリック教徒の多い西ベルファストで撮影されたため、地元マスコミにも取り上げられるほど物議を醸した。テレビ番組の撮影であることは明らかであったが、地元民は激怒し、撮影中に物を投げつけていた。

  • シーズン2エピソード1で、ミッシェルがエリンに伝えようとした“髪がバサバサの英国人男性”のゴシップとは、ヒュー・グラントの浮気スキャンダルのこと。1995年、グラントはモデルのエリザベス・ハーレーと交際中だったが、滞在先のアメリカにて、車上で売春婦と卑猥な行為を行っていたところをすっぱ抜かれていた。

  • リサ・マッギーが『デリー・ガールズ』の前に手がけたテレビミニシリーズ『London Irish』（13年）には、マクスウィーニー、ピーター・カンピオン（ピーター神父）、アーダル・オハンロン（エイモン役）、トレーシー・リンチ（フィオヌラ役）、ポール・マロン（デニス役）が出演している。

  • マクスウィーニー、エリンの母マリー役のタラ・リン・オニール、エリンの祖父ジョー役のイアン・マッケルヒニー、ご近所のマラーキーさん役のジュリア・デアデンは、皆ドラマ『The Fall』に出演していた。

  • ファンたちは同じくアイリッシュはコーンに住む10代男子が主人公のドラマ『The Young Offenders』とのクロスオーバーを求めている。（しかし、時代設定が異なるため実現するにはハードルが高いと思われる）

  • 2020年6月末にアイルランドで放送されたチャリティ番組『RTE's Comic Relief』にて、キャストたちが再集結。ZOOMを使ったスケッチを展開した。ドラマ『デリー・ガールズ』のキャラクターではなく、役者たち自身としての出演だが、キャラクターの立ち位置や振る舞いはほぼ同じ。ジャクソンが、シアーシャ・ローナンから『RTE's Comic Relief』で共演しないかと声をかけられたからと皆を招集し、“素晴らしいアイデア”を募る。しかし、まともなアイデアが出ない中、ローナンがZOOM会議に参加する…という内容に。

  • 『デリー・ガールズ』の公式本『Erin’s Diary』が2020年11月に刊行決定。オーラによって馬鹿にされているエリンの日記仕様の設定のようだ。

  • 2021年9月23日、マッギーがシーズン3でドラマが終了すると公式発表。しかし、スピンオフ映画の計画があることもほのめかしている。

エピソード名

シーズン1
1. 原題：Episode One
2. 原題：Episode Two
3. 原題：Episode Three
4. 原題：Episode Four
5. 原題：Episode Five
6. 原題：Episode Six


シーズン2

1. 原題：Episode One
2. 原題：Episode Two
3. 原題：Episode Three
4. 原題：Episode Four
5. 原題：Episode Five
6. 原題：Episode Six

 


TRAILER | Derry Girls | Starts Thursday 4th January

 

作品情報 【放映年度（本国）】2018年1月4日 – 2019年4月9日
【シーズン数／エピソード数】2シーズン／12話
【各エピソード時間】22分
【放送局】Channel 4
【日本で観る方法】Netflix
【製作】
原案・脚本：リサ・マッギー（Lisa McGee）
監督：マイケル・レノックス（Michael Lennox）
製作会社：Hat Trick Productions

 参考サイト：Wikipedia ／ IMDb ／ TV Tropes